前回の『貨幣制度の大問題』で間違いが有ったので訂正します。間違った所は「銀行からお金の借りる返済をするを繰り返すことで、社会のお金が少なくなる」としたことです。間違った原因は、お金を銀行に返すとき利子分のお金も又無に帰ると考えた事です。
当たり前ですが、無に帰るお金は貸し出した(信用創造で生み出された)額のお金のだけで、利子分のお金は元々社会に有った金や新たな投資(銀行からの借金)で生み出された金を、返済する人がかき集めた金です。利子の金は銀行の取り分となり消費され、社会に還元されて次に借金する人の利子分の金になるので、社会のお金は減りません。
但し、これは国内の銀行からお金を借りた場合だけです。海外の銀行からお金の借りる返済をする事を繰り返すと、せっかく貿易で稼いだ外貨は減って行き、減った分の外貨は更に貿易で取り返すしか有りません。つまり外国の銀行からお金借りた場合、その外国の銀行のある国のために働かされるのです。これはある意味植民地支配と同じ構図です(注1)。
無から生み出した金を貸し出し利子分をプラスした額が返済されるなんて、こんな美味しい商売は有りません。基軸通貨を発行出来る銀行なら、世界中から富を収奪できるのです。これこそが国際金融資本が世界を支配できる理由です(注1)。
しかし各国の政府が自国通貨を増やすような政策をするようになったら、この国際金融資本による支配体制は崩れます。政府が通貨を増やすとは政府紙幣発行とか中央銀行による国債の直接買い取りと同じです。それは通貨を増やすことなのでインフレ推進政策になります。経済学者が何故財政均衡論を言い、インフレの恐怖を煽り、MMT等を批判しているかお分かりでしょう。彼らが意識していようといまいと、彼らは国際金融資本の代弁者だからです。
経済学者が批判する点はインフレだけです。しかし日本は終戦直後の大インフレやオイルショック時のインフレを経験しましたが、これは政府が金を発行しすぎたから起きたインフレでは無く、実際の物不足によるインフレです。国民が困ったのは物価が上がったからでは無く、物が買えなかったからです。確かに急激なインフレは困り物ですが、経済のことが心配なら現物の物やサービスが不足する事の方を心配すべきでしょう。デフレを放置した場合、国の生産能力が失われ、何れ物不足のインフレが起きます。
以上により、K.Oによる経済の記事を一先ず終えます。
最後にK.Oが何故経済の記事を書く気になったかを説明します。K.Oが経済の事に関心を持ったのは『政府紙幣』と言う言葉を発見した時からです。それまではK.Oも国の赤字を心配していた口です。そこでお金とは何ぞやと考え始めました。考え始めたとたん国の赤字を心配しているのが如何に馬鹿々しいかを気が付きました。結果はMMT政策と同様な結論です。
もっともMMTについて詳しくは知りませんし知ろうとも思いません。不毛な財政赤字論を打ち切るためにも積極的に政府紙幣を発行すべきの考えですし、お金について自分の頭で考えれば同じ結論(政府紙幣発行、日銀による直接国債買取、政府の財政赤字無視)になるだろうと思っているからです。
それでもMMT等に反対する人がいますが、MMTと同じ結論にならない人は自分の頭で考えていないからでしょう。自分の頭で考えていない代表が経済学者なのは困ったことですが、何故そうなったかと言えば、分かる事を学ぶ事だと思い込んでいる人が多いからでしょう。
学ぶ事とは学習することで訓練される事と変わりが有りません。それに対して分かると言うことは初めに疑問があり、その疑問を自分の頭で解くことです。恐らく殆どの経済学者は学ぶのが忙しくて自分の頭で考えていなかったのでしょう。経済学は深みに嵌れば難しいのでしょうが「お金とは何ぞや」からはじめれば、経済学など学ばずとも政府の財政問題や日本の経済問題程度なら素人でも分かる筈です。是非皆様も自分の頭で考えて見てください。
そこで経済の記事を書いた理由ですが、まず財政赤字論の馬鹿々しさを理解して貰うことと、共通な認識の上で、若し日本がMMTのような経済政策に舵を取ったとき、日本経済はどうなるのか、米中経済摩擦の真の要因は中国のMMT的政策だからではないか、日米関係はどうなるのか、とかを皆様と論じたいためが目的でした。
注1、資源の無い日本では輸入代金を稼ぐために輸出産業に力をいれる必要がありますが「輸出とは外国人の為に働くことだ」とまず認識するべきです。ところが日本は輸出産業に力を入れすぎたのか国民性なのか、貿易黒字によりドルが溜まりすぎることになりました。実はこれは国際金融資本の支配体制を崩すことになったのです。
無から生み出したドルで奴隷労働をさせようと目論でいたのに、日本人はそれ以上に働き、ドルを借りずに誰かが銀行から借りたドルをせっせと溜め込むことをしたのです。その結果がスーパ301条や日米構造協議です。現在の米中貿易摩擦と同じです。
注2、若し世界中で通用する通貨がドルだったら、アメリカの銀行からお金を借りて返済すると、その国に元々有った利子分のお金がアメリカの銀行の取り分になり、アメリカの銀行がその国で消費しない限り、その国のお金は減って行きますます。全ての富がお金に換算出来るのなら、何れ全ての富はアメリカとアメリカの銀行の物になります。
アメリカを表す言葉に軍産複合体がありますが、寧ろ金融複合体の方を注目すべきでしょう。
by K.O